GRATITUDE 要約|愚痴が増えた会社員の感謝習慣『GRATITUDE』

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

仕事はちゃんとやっている。なのに、帰りの電車で思い出すのは「できなかったこと」と「腹が立ったこと」ばかり
気づけば、会議のあとも、家に帰ってからも、口から出るのは小さな愚痴

月曜の朝、カレンダーに上司からの会議が勝手に差し込まれている。部下の資料はまだ届かない。同期の昇進の知らせが社内チャットに流れてくる。家に帰れば、洗い物が残っていて、つい言い方がきつくなる。わたし(多本読造)のところにも、「自分がどんどん不機嫌な人間になっていく気がする」という声がよく届きます。

そんな人に手に取ってほしいのが、スコット・アランさんの『GRATITUDE(グラティチュード) 毎日を好転させる感謝の習慣』(弓場隆さん訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。この記事では、本の考え方を論点ごとに組み直し、30〜40代の会社員の毎日に置き換えて解説します。あわせて、感謝の研究を実際に調べ、本の主張がどこまで裏づけられているかも確かめました。

この記事で分かること
  • 『GRATITUDE』の核になる考え方(不満は「注意の向け先の癖」であり、感謝は練習で身につく)
  • 嫌なことがあった日や失敗した日に、無理なく感謝へ切り替える順番
  • 研究から見た「効く書き方・効きにくい書き方」と、会社員向けの1週間の始め方

先に結論です。この本が教えるのは「いつも笑顔でいなさい」という精神論ではありません。足りないものを数える癖を、すでにあるものに気づく癖へ、毎日の決まった時間で少しずつ置き換えていくという、地味で具体的な習慣づくりです。痛みを押し殺せとは言っていない点も、この本の大事なところです。

目次

『GRATITUDE』の基本情報と、向いている人

書名GRATITUDE(グラティチュード) 毎日を好転させる感謝の習慣
著者・訳者スコット・アラン(著)、弓場隆(訳)
出版社・発行ディスカヴァー・トゥエンティワン、2022年10月(原著は2021年刊)
ISBN978-4-7993-2909-2
本のつくり7つのパートに短い章が並ぶ構成。どの章から読んでもよく、各章に「今日からできる提案」がついている

著者はカナダ出身のライフコーチで、自己啓発の著作が米国のAmazonでベストセラーになってきた人です。日本語の勉強と空手が趣味で、岡山に25年ほど住んでいるというプロフィールにも親しみがわきます。

一つひとつの章が短く、通勤電車の数駅分で1章が読めます。

こんな人に向いています
  • 職場でも家でも、気づくと不満を口にしている自分が嫌になっている人
  • 他人の昇進・年収・暮らしと比べて、自分には何もないように感じる人
  • 日記や手帳の習慣を始めたいが、何を書けばいいか分からない人
  • 家族や同僚に「ありがとう」を言いそびれている自覚がある人

本の核心:感謝は「性格」ではなく「注意の向け先」を変える練習

本はたくさんの章に分かれていますが、言っていることを煮詰めると、次の6つの論点にまとまります。章の順番ではなく、会社員が実際に困る場面の順に並べ直して解説します。

論点1:不満が多いのは、ないものばかり数える「癖」のせい

本の主張。私たちが不満だらけになるのは、境遇が悪いからではなく、意識が「持っていないもの」に向きっぱなしになっているからだ、というのが本全体の土台です。著者はこの状態を「欠乏意識」と呼び、お金の多い少ないとは関係がないと強調します。裕福でも欠乏意識にとらわれる人はいるし、その逆もある、と。

なぜそう言えるか。本の説明はこうです。恵まれている点に気づかないと、考えが悪いほうへ転がり、最後には「自分にはどうせ大したことはできない」と決めつけるところまで行ってしまう。逆に、ささいな恵みに一つ気づくと、そこから別の恵みにも目が向く連鎖が起きる。本では、縁が欠けた皿からリビングの古いソファへと、気づきが広がっていく例で説明しています。注意は連鎖する、だから最初の一つを良いほうに置けばいい、という理屈です。

会社員の場面に置き換えると。評価面談で「ここが課題」と言われた一言だけが頭に残り、褒められた三つを忘れてしまう。家計簿アプリを開くと、貯まった額より使いすぎた項目に目がいく。これが欠乏意識の正体です。本はここで、自分の不満を数日間観察し、どれくらい口にしているかを書き出してみるよう勧めています。体重を減らす前に体重計に乗るのと同じで、まず回数を見える形にするところから始めるわけです。

ポイント

不満の多さは性格ではなく「何を数えているか」の問題。まずは数日、自分の愚痴の回数をメモして、どこに注意が向いているかを確かめます。

論点2:感謝は筋トレと同じで、繰り返すほど自動になる

本の主張。感謝は生まれつきの性格ではなく、鍛えて育てる力だ、というのが二つ目の柱です。著者は序章で、運動を続けると筋肉がつくのと同じように、感謝も繰り返すうちに意識しなくても出てくる「自動モード」になると説明します。車の運転を覚えたときのように、最初はぎこちなくても、そのうち考えずにできるようになる、と。

なぜそう言えるか。何度も行う行動ほど脳の中の回路が強くなり、習慣になる、という説明です。だからこそ著者は、本を読んで納得するだけでは何も変わらないと、繰り返し念を押しています。本の使い方としても、教えを一つ選んで数日試し、手応えを確かめてから次へ進む、という小分けのやり方を勧めています。

会社員の場面に置き換えると。新しい業務システムのショートカットも、最初の一週間はいちいち調べますが、ひと月たてば指が勝手に動きます。感謝も同じで、「意識の高い人がやる特別なこと」ではなく、「毎日同じ時間に同じことをする手順」として扱うと続きます。

多本読造じいのひと言:「感謝できる人」になろうとせんでいい。「感謝を書く時間がある人」になればええんじゃ。性格は変えにくいが、予定表なら今日変えられる。

論点3:1日の中に「感謝の時間」を埋め込む

本の主張。では、何をいつやるのか。本に出てくる方法を、1日の流れに並べ直すとこうなります。

タイミング本が勧めること(要旨)
起きてすぐ気分が悪い朝でも、まず一つだけ感謝の対象を見つける(第3章)。別の章では、朝に5つ書き出すリストも紹介されている(第15章)
出社前仕事の良い面を3つ思い浮かべて紙に書き、嫌な作業をやり遂げる自分を想像する(5分ほど。日中にもう一度)
日中アラームを1日2回かけ、10分ほど、感謝したい人や出来事を思い浮かべる休憩をとる
夜その日の良かった出来事を振り返り、5つ書き出す

なぜそう言えるか。著者は、目覚めたときの気分がその日一日の調子を左右すると考えています。だから朝いちばんに「良いほう」へ注意を置き直し、日中にアラームで何度か思い出し、夜に書いて記録に残す。注意の向け先を1日に何度もリセットする設計です。日中に思いついた恵みは、そのつど短くメモしておけば夜に思い出す手間が省ける、という細かな助言もあります。

会社員の場面に置き換えると。本の例には、同僚が持ってきてくれたコーヒーや、上司が仕事ぶりを評価してくれた一言が出てきます。大きな幸運でなくていいのです。「昼の定食が当たりだった」「会議が予定より5分早く終わった」「子どもが寝る前に今日の話をしてくれた」。こうした小さな出来事を拾えるかどうかが勝負になります。

ポイント

本の方法は「朝・出社前・日中・夜」に分かれています。全部を一度に始める必要はありません。生活の中で必ず通る時間に一つだけ結びつけるのが、続けるコツです。

論点4:嫌なこと・失敗した日は「痛みを認めてから」感謝する

本の主張。感謝の本と聞くと「何でもプラスに考えろ」と言われそうで身構える人もいるでしょう。この本の良いところは、そこを雑に扱っていない点です。たとえば就職の面接に落ちた、失恋した、という拒絶の場面について、本はまず起きたことを紙に書き、つらい気持ちを認めることから始めるよう勧めます。苦しみから目をそらすと、かえって強くなるからだ、というのが理由です。

失業や試験の不合格のような挫折でも順番は同じです。まず落ち込んでいる自分を認め、紙に書くか誰かに聞いてもらって、まず心を静める。そのあとで、その経験から得られそうな良いことを3つ探す。本の例では、腕を磨くきっかけになる、人前で話すことに慣れる、家族といられる時間ができる、といったものが挙がっています。

なぜそう言えるか。著者は、問いの立て方で答えの中身が変わると考えています。「なぜ失敗したのか」と自分に聞けば失敗の理由ばかり集まり、「次はどうすればうまくいくか」と聞けば打ち手が出てくる。変化に出くわしたときも、深呼吸してから、その変化の中に得になる部分がないかを探すよう勧めています。

会社員の場面に置き換えると。本には、上司に急な会議で呼ばれた、同僚が病気で休んで仕事が増えた、という例が出てきます。本はこういう日でも、仕事と収入があることや、周りに自分の力を見せる機会になったことに目を向けられると言います。ここで大事なのは順番です。いきなり「ありがたい」と思い込もうとすると、自分にうそをついている感じが残ります。まず「正直、今日はしんどい」と一行書く。そのあとで「ただ、この案件を任されたのは信頼されているからでもある」と一行足す。この二段構えなら、無理なく切り替えられます。

ポイント

順番は「起きたことを書く → つらさを認める → 良い面を3つ探す」。痛みを飛ばしていきなり前向きになろうとしないことが、本の大切な注意点です。

論点5:「もっと欲しい」と「大きな目標」の違いは、感謝があるかどうか

本の主張。欲しいものは、手に入れた瞬間に次が欲しくなります。本の例では、寝室が3つの家を買うと、今度は寝室が6つで庭の広い家が欲しくなる。著者は、大きな目標を追うこと自体は否定しません。違いは、手に入れたものや達成したことに感謝できるかどうかだ、と線を引きます。

そのうえで、何かが強く欲しくなったときは立ち止まり、「本当に欲しいものか」「どんな気持ちから来ているか」「手に入れたら暮らしの何が良くなるのか」の3つを自分に問い、答えを書いてみるよう勧めています。

この論点を一文で表すなら、本の第14章の冒頭に掲げられた次の言葉がぴったりです。

喜びがあるから感謝するのではなく、感謝するから喜びがあるのだ。

(デヴィッド・スタインドル・ラストの言葉。スコット・アラン著、弓場隆訳『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』より)

会社員の場面に置き換えると。ボーナスが出た週に、ネット通販のカートがいっぱいになる。同僚が新しい車に乗り換えたと聞いて、自分の車が急に古く見える。こういうときこそ3つの問いが効きます。わたしは、カートに入れたものを24時間寝かせて、翌日この問いを当ててみるのをおすすめします。半分くらいは「別にいらなかった」と気づくはずです。

論点6:感謝は、相手に伝えて初めて仕上がる

本の主張。本の後半は、パートナー・子ども・親・友人・職場の仲間と、相手別に感謝の伝え方を並べています。与えるというとお金を想像しがちですが、本が言う「与える」は、相手の良いところを口にする、してくれたことに礼を言う、ちょっとした親切をする、といった身近な行動です。

なぜそう言えるか。著者は、人間関係がこじれる原因の多くは感謝が足りないことにあると見ています。相手を喜ばせると、相手も同じことを返したくなり、感謝が行き来する関係になる、という考え方です。

会社員の場面に置き換えると。職場について本は、仕事を教えてくれた上司に礼を伝える、支えてくれる同僚に気持ちを伝えて手伝う、取引先に感謝を込めて贈り物をする、といった例を挙げています。家では、話をしている最中はパソコンやスマホではなく相手に集中する、という指摘が耳に痛い人も多いでしょう。夕食のときにスマホを伏せて置くだけでも、立派な感謝の表現です。

ポイント

感謝は心の中で思うだけで終わらせず、言葉・メッセージ・小さな親切で相手に届ける。相手別に「一つだけ」決めておくと実行しやすくなります。

調べてみた:感謝の習慣は、研究でどこまで裏づけられているか

本には研究の紹介がたくさん出てきますが、出典が書かれていないものも多くあります。そこで、元の論文や公的な統計を確かめ、本の主張と並べてみました。

働く人の3人に2人が、強いストレスを抱えている

厚生労働省の「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」(2026年8月公表)では、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスがあると答えた労働者は67.5%でした。年代別では30代が69.0%、40代が71.5%。中身の上位は「仕事の量」と「仕事の失敗・責任の発生等」(どちらも39.5%)、「対人関係」(32.9%)です。この本が扱う「急な仕事」「失敗」「人間関係」は、まさに多くの会社員が抱えている悩みと重なります。

「書くだけ」の効果は、どれくらい確かか

研究分かったこと本との関係
Emmons & McCullough(2003)感謝を書き出す群は、人生の評価や翌週への楽観が高くなった。神経筋疾患の成人65人を対象にした実験(21日間)では、睡眠時間が対照群より長くなり(7.58時間と7.06時間)、目覚めも良くなった。一方、痛みには差が出なかった本が紹介する「書くと眠りが良くなる」の元になった研究。本では対象が「慢性の痛みがある人」と紹介されているが、論文では神経筋疾患の成人。数字は論文のものを載せた
Wong ほか(2018)カウンセリングを受けている293人のうち、心理療法に加えて週1回・3週間「感謝の手紙」を書いた群は、12週間後の心の健康が最も良かった。手紙を実際に送ったかどうかは結果に関係なかった本の序章の「3つのグループの研究」と一致。送らなくても効果が出ている点は、照れくさい人には朗報
Seligman ほか(2005)毎晩「今日あった良いこと3つ」とその理由を1週間書いた人は、6か月後まで幸福感が高く、抑うつ傾向が低かった本の「夜のリスト」を裏づける。本は5つを勧めるが、研究では3つでも効果が出ている
Lyubomirsky ほか(2005)感謝していることを書く課題を6週間続けたところ、週1回の群は幸福感が上がり、週3回の群ではほとんど差が出なかった「毎日たくさん」より「新鮮さを保てる頻度」が大事な可能性を示す
Kumar & Epley(2018)感謝の手紙を書いた人は、受け取った人がどれだけ喜ぶかを低く見積もり、気まずく思われる度合いを高く見積もっていた「伝えて完成」の論点を後押し。うまく書けるかより、伝えること自体に価値がある

限界:万能薬ではないし、根拠が崩れた話もある

一方で、限界もはっきりしています。オハイオ州立大学のチームが27の研究(参加者3,675人)をまとめた分析(Cregg & Cheavens, 2021)では、感謝の習慣がうつや不安を和らげる効果は小さいという結果でした。研究者自身が「治療として勧めるものではない」と話しています。気分を少し底上げする習慣としては役立ちますが、つらい状態が続くときは医療機関や専門家への相談が先です。

また、本の第1章では夫婦関係について「ポジティブとネガティブの比率」の研究(2005年)が紹介されていますが、この研究の数理モデルの部分は2013年に数学的な誤りを指摘され、論文の該当部分が正式に撤回されています。夫婦の話は、比率よりも第20章の具体的な行動(毎日礼を言う、話すときはスマホを置く など)のほうを参考にするのがおすすめです。

調べてみた結論

「感謝を書くと前向きな気分が上がる」は複数の実験で確かめられています。ただし効果の大きさは控えめで、頻度は多ければ良いわけでもありません。本の方法は「少なめに、長く」使うのが研究とも合うやり方です。

多本読造の見立て:賛成できる点と、別のやり方もある点

賛成できる点

  • 「いつ・何をするか」まで決めてくれている。感謝の大切さを説く本は多いのですが、朝・出社前・日中・夜と時間割に落としている点が実用的です。忙しい会社員ほど、気持ちより手順のほうが頼りになります。
  • 痛みを先に認める順番を守っている。失敗や拒絶をいきなり美談にしないので、読んでいて置いていかれません。
  • 相手別の伝え方が具体的。上司・同僚・取引先・家族と分けてあるので、「誰に、何を」がすぐ決まります。

条件が違う人には、別のやり方もある点

  • 「引き寄せ」や「波動」の章。第2部には、感謝のエネルギーが豊かさを引き寄せるという著者の考えが出てきます。ここは科学で確かめられた話ではないので、そうした考え方が合わない人は「良いことに目を向けると、行動やチャンスへの気づきが変わる」という心理の話として読み替えると、すんなり使えます。
  • 書く量と頻度。本は朝5つ・夜5つと、毎日しっかり書くことを勧めます。続けられる人はそれで良いのですが、残業続きの時期は義務になってしまいがちです。上の研究のとおり、週1回でも効果は出ています。忙しい人は「平日は1行、週末に5つ」から始める手もあります。
  • しんどすぎる時期。本は前向きな言葉を唱える方法も多く紹介していますが、心身が限界に近いときは、言葉より休息や相談が先です。感謝の習慣は、少し余裕が戻ってきたときの「立て直しの道具」と位置づけると安全です。
ポイント

本の芯である「あるものに目を向ける」「繰り返して習慣にする」は、研究とも日常の感覚とも合います。合わない部分は捨てるのではなく、自分の条件に合わせて量と言い方を調整すれば十分に使えます。

多本読造流の実践:会社員のための「感謝の1週間スタート表」

本の方法をそのまま全部やろうとすると、3日で息切れします。そこで、本の考え方と調べた研究を組み合わせ、順番と量を会社員向けに組み直しました。道具はスマホのメモと、手のひらサイズのノート1冊だけです。

日やること(目安時間)ねらい
1日目(月)愚痴や不満を言った・思ったら、スマホのメモに「正」の字で数えるだけ(0分)注意がどこに向いているかを見える形にする
2日目(火)通勤の行きに「今日の当たり前」を1つだけメモ(例:電車が動いている、体が動く)(1分)朝いちばんに注意を良いほうへ置く
3日目(水)寝る前に「今日の良かったこと3つ」と、それがなぜ起きたかを1行ずつ(3分)研究で効果が確かめられた形をそのまま試す
4日目(木)嫌なことが1つあったら「正直つらい」→「でも○○は得た」の2行を書く(2分)痛みを認めてから切り替える練習
5日目(金)職場の誰か1人に、チャットか口頭で具体的な「ありがとう」を送る(1分)伝える側の気まずさは思い込みだと体で知る
6日目(土)家族と食事をする間、スマホを別の部屋に置く。欲しい物があればカートに入れて24時間寝かせる身近な人への感謝と、欲しい気持ちとの付き合い方
7日目(日)1週間のメモを見返し、続けたいものを1つだけ選ぶ。それを来週の「固定メニュー」にする(10分)本の勧める「一つずつ試して、次へ」を自分用に

2週目からは、7日目に選んだ1つを毎日続け、週末の見返しだけを固定にします。全部をやるのではなく、自分に効いたものだけを残していく「引き算」の進め方です。

続けるためのチェックリスト
  • 感謝を書く時間を「歯みがきの後」「改札を通った後」など、毎日必ずする行動の直後に決めた
  • 書く量は1行でOKと自分に許可した(多く書けた日はおまけ)
  • 同じことを書き続けて飽きたら、「人」「体」「道具」「出来事」とテーマを変える
  • 週に1回は、書いたものを見返す時間をとっている
  • 落ち込みが2週間以上続くときは、習慣より相談を優先すると決めている
多本読造じいのひと言:わしのおすすめは金曜の「ありがとう1通」じゃ。書く前は照れくさいが、返ってくる返事を見ると、だいたい自分のほうが元気をもらっておる。

よくある疑問

『GRATITUDE』は何章から読めばいいですか?
どこからでも読めるつくりです。仕事のストレスが強い人は「仕事への感謝」が出てくる第17章、失敗を引きずっている人は第13章、家族との関係が気になる人は第7部から読むと、すぐ使える提案に出会えます。
感謝日記は毎日書かないと意味がありませんか?
研究では、週1回でも幸福感が上がった例があります。毎日書けるなら書けばいいですが、義務になってつらいなら頻度を下げてかまいません。続けることのほうが大切です。
無理に感謝しようとすると、かえって苦しくなりませんか?
本自体も、つらいことはまず認めるよう勧めています。「つらい」と書いてから良い面を探す順番にすれば、自分をごまかしている感覚は残りにくくなります。
感謝の習慣で、うつや不安は治りますか?
研究をまとめた分析では、うつや不安への効果は小さいとされています。気分を整える習慣としては役立ちますが、治療の代わりにはなりません。つらさが続くときは医療機関に相談してください。
引き寄せの法則の本ですか?
一部の章に引き寄せの考え方が出てきますが、本の大部分は、日記・言葉・親切といった具体的な習慣の話です。引き寄せに関心がない人でも、実践の部分は十分に使えます。

この本が合う人・合わない人

こんな悩みがあるならこの本でこう変えられる
気づくと愚痴ばかり言っている不満の回数を数え、注意の向け先を「あるもの」へ移す手順が分かる
失敗や不採用を引きずってしまう痛みを認めてから良い面を3つ探す、という切り替えの順番が分かる
家族や同僚に感謝を伝えそびれている相手別に、今日からできる伝え方の例が見つかる
習慣化が苦手朝・日中・夜の時間割で、小さく始める形が手に入る

反対に、感謝の効果を論文レベルで詳しく知りたい人や、引き寄せ・スピリチュアルな表現にどうしても抵抗がある人には、少し物足りなかったり、合わない部分があったりするかもしれません。その場合は、下で紹介する心理学の本と組み合わせると、理屈と実践の両方がそろいます。

あわせて使いたいもの

本の実践を続けやすくする本と道具を選びました。効果を約束するものではなく、「続ける仕組み」として役立つものです。

マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ』(宇野カオリ 監訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ポジティブ心理学の第一人者による本です。上で紹介した「良いこと3つ」を書く方法や、感謝を伝える練習が、研究の背景とともに説明されています。『GRATITUDE』の実践が「なぜ効くのか」を知りたい人に向いています。

Amazonで見る / 楽天ブックスで見る
ソニア・リュボミアスキー『新装版 幸せがずっと続く12の行動習慣』(金井真弓 訳、渡辺誠 監修、日本実業出版社)

「週1回と週3回」の研究をした心理学者による本です。感謝を含む幸せの習慣を、自分に合うものから選んで続ける考え方が書かれていて、上の「引き算」の進め方と相性が良い一冊です。

Amazonで見る / 楽天ブックスで見る
高橋書店 5年日記

1日分の欄が数行と小さいので、「今日の良かったこと」を1行書くのにちょうどいい日記帳です。同じ日付の去年の記録が同じページに並ぶため、見返すたびに「1年前より恵まれていること」に気づきやすくなります。

Amazonで探す / 楽天市場で探す
ミドリ 一筆箋 3サイズ 飾り罫柄

3つの大きさの一筆箋が1冊にまとまったものです。書類を渡すときや差し入れに「いつも助かっています」と一言添えるのに使えます。長い手紙は気が重い人でも、一筆箋なら数行で済みます。

Amazonで探す / 楽天市場で探す
選び方のポイント

理屈を深めたい人は心理学の本、続ける仕組みが欲しい人は日記帳、伝える練習をしたい人は一筆箋から。全部そろえなくても、1つあれば十分です。

まとめ

  • 不満の多さは性格ではなく「ないものを数える癖」。まずは回数を数えて、注意の向け先を知る
  • 感謝は練習で身につく。朝・日中・夜のどこか一つに結びつけ、1行から始める
  • つらい日は痛みを認めてから。そして感謝は、相手に伝えて仕上げる

本の最後に、著者は読者に「今日は何に感謝するか」と問いかけています。この記事を読み終えた今、一つだけ思い浮かべてみてください。それが、習慣の1日目です。

動画でもっと気軽に。多本読造じいがアニメで要点を解説しています。

参考文献・出典

あなたの悩みに合う本を探す

このブログでは、20〜30代の悩みに効く本を悩み別にまとめています。次に読む1冊を探してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

20〜30代の社会人に向けて、仕事・人間関係・メンタル・時間術などの悩みに効く本を解説しています。日本未翻訳の海外の話題書もいち早く紹介。読んで終わりにせず、「今日からできること」まで具体的にお届けします。

目次