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営業や接客も話し下手で、「選ばれる側」になれる気がしない
会議で気の利いたことが言えない。取引先との雑談が続かない。わたし(多本読造)も若いころは「自分には売りがない」と思い込んでいた一人です。
そんな人に読んでほしいのが、宇野隆史さんの『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』です。居酒屋の開業本の形ですが、中身は「才能がなくても人に選ばれるやり方」の本です。
- 「100円のトマトが300円になる」の意味と、本が説く8つの考え方(立地・名前・売る力など)
- 開業費用・廃業率・倒産件数などの統計と並べたとき、本の主張のどこが今も通じて、どこに注意が要るか
- 飲食店をやらない会社員が、職場や副業で月曜から試せる、多本読造流「差額200円の1週間」
先に結論です。人に選ばれる差は、特別な技術ではなく「相手を喜ばせる小さな一手間」から生まれます。名前を呼ぶ、見えない努力を見せる、売りたいものを3つに絞る。どれも才能がいらないから、お金も腕もない人の武器になります。
『トマトが切れれば、メシ屋はできる』はどんな本か
| 書名 | トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる ~居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方~ |
|---|---|
| 著者 | 宇野隆史(楽コーポレーション社長)/日経レストラン編集部 編 |
| 出版社 | 日経BP社(発売:日経BPマーケティング) |
| 発行 | 2011年3月(ISBN 978-4-8222-3343-3) |
| もとになった連載 | 『日経レストラン』2007年5月号~2010年12月号の連載に加筆修正 |
| 構成 | はじめに+5章(店作りの基本/立地/メニュー/接客/売る力)+弟子の寄稿 |
著者の宇野隆史さんは1944年東京生まれ。1978年に東京・経堂の5坪の居酒屋から始め、1981年に下北沢の「くいものや楽」で知られるようになりました。社員にはいずれ自分の店を持たせて送り出す方針で、巣立った経営者は略歴では100人以上(「はじめに」では200人ぐらい)。スタッフからは「おとうさん」と呼ばれています。
文章は「オレはさ」という語り口で、1節が数ページで完結するので通勤電車で1節ずつ読めます。
- いつか小さな店や副業を持ちたいが、資金も技術も足りないと感じている人
- 営業・販売・窓口など「お客さんに選ばれる」仕事をしていて、話し下手に悩んでいる人
- 部下や後輩に「売る力」「気づく力」をどう教えればいいか迷っている管理職
本の核心:才能がなくても選ばれる8つの考え方
章の順ではなく、会社員にも使える論点ごとに組み直しました。「会社員の場面では」は多本読造の読み替えです。
論点1:差額の200円は「心」でつくる
本はこう言う。書名はここから来ています。料理人の腕がいらない居酒屋は、誰にでもできる商売だ、というのが著者の出発点です。その象徴が冷やしトマト。仕入れ値100円のトマトが店では300円で売れ、客もそれを高いとは感じない。だから工夫しだいで飲食店は必ず儲かる、と著者は言い切ります。
差額の二〇〇円はオレたちの「心」。
出典:『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史著
なぜそう言えるか。農家やビール会社の苦労に比べれば、それを出す側の努力は小さい、と著者は書きます。価値の大半は作り手がつくっている。店が足すのは一手間と、喜ばせようとする気持ちで、それが伝わるからお客さんは3倍の値段を高いと思わない、という理屈です。
同じ節には、こだわりは客の目に入る形にしてこそ伝わる、という趣旨の提案もあります。ラーメン店ならスープの材料を客席から見える冷蔵庫に入れ、その量を書き出しておけばいい、というものです。
会社員の場面では。報告書も「トマト」です。材料(社内データや前例)はみんな同じ。差がつくのは、要点を1行目に置く、前回の質問への答えを添える、といった一手間です。そして「3社分の数字で確かめました」と裏でやったことを一言で見せる。これがラーメン店の冷蔵庫にあたります。
論点2:ハンデこそ工夫のエンジン。最初は「手段の店」で小さく
本はこう言う。著者がすすめる開業資金の目安は500万~600万円(月10万円を5年)。人のお金で30坪の店を出すより、5~6坪から始めるほうがいい、と言います。
印象的なのが、開店資金が300万円しか用意できなかった弟子の話です。候補は、保証金200万円の15坪の元喫茶店と、トイレだけがついた8坪の物件。8坪を選んだことで、店の中に屋台を入れるアイデアが生まれた、と本は語ります。
15坪の店を選ぶのは、いわば背伸びしたまま働き続けるようなもの。著者はそれを危うい選択だと見ます。
なぜそう言えるか。15坪なら保証金で200万円が消え、残りは100万円。お金の心配で頭がいっぱいになれば、面白い工夫を考える余地はなくなります。手元に余裕を残すことが「遊び心」の元手になる、というのが著者の見立てです。最初の店は理想の「目的の店」ではなく、客を呼べる「手段の店」にせよ、とも言います。
会社員の場面では。副業を高い機材や有料講座から始める人は少なくありません。本に沿うなら、手元の道具で小さく始め、余ったお金と時間を「相手を喜ばせる工夫」に回すほうが長続きします。最初は「やりたいこと」より「確実に役に立てること」で土台をつくる。それが「手段の店」です。
論点3:立地より「店の力」。人が話したくなる引っかかりをつくる
本はこう言う。人通りの多さは繁盛の条件ではない、と著者は書きます。原点は経堂の人通りのない5坪(保証金30万円)。終電帰りの客に絞り、深夜料金を1人300円取りました。味噌汁とフルーツが100円ずつ、残り100円は著者のしゃべり代。これで1日6万円ほど売る店になったそうです。
ほかにも、看板を名刺1枚で済ませた店や、店名を小さく入れただけの重い鉄の扉の店が出てきます。
なぜそう言えるか。不便な場所に来る人は「この店を目指して」来ています。その人を満足させれば「こんなところにいい店が」と人に話してくれる。入りにくい扉は欠点ではなく話の種だ、というのが著者の考えです。
会社員の場面では。社内で目立たない部署にいる、という悩みは「立地」の悩みです。人通りの多い部署にいなくても、わざわざ相談に来た人を必ず満足させれば、「あの人に聞けば分かる」と口コミが広がります。
論点4:名前を呼ぶのに才能はいらない。仕組みで呼ぶ
本はこう言う。著者が接客でいちばん大切だというのが、来てくれた人の名前を覚えて、呼ぶことです。「A1にビール」と「鈴木さんにビール」では、客の気持ちがまるで違う。
本に出てくる成果の例は具体的です。客の名前がどうしても覚えられない店長がいた店で、席ごとの客の名前を裏で書き留め、スタッフ全員が名前で呼べる仕組みにした。結果は2カ月で月商約150万円の増加。時期はリーマン・ショックの直後でした。
なぜそう言えるか。不況で財布のひもが固い時期でも、客が足を運ぶのは自分を覚えていてくれる店だ、というのが著者の説明です。わたしが大事だと思うのは、著者が話のうまさと名前を覚える力を別の能力として扱い、後者は誰にでもできると言っている点です。お互いを名前で呼べる関係ができると、おすすめの一品も売りやすくなる、と話は「売る力」につながっていきます。
会社員の場面では。卓番表は、今でいえば顧客メモです。取引先の受付の人、別部署の担当者、毎朝すれ違う警備員さん。名刺の裏やスマホのメモに「名前+好み1つ」を書いておき、次に会ったとき名前で呼ぶ。記憶力に頼らず、仕組みで呼ぶのがこの論点の要です。
論点5:「しか」ではなく「も」。ヒマなときこそ一手間
本はこう言う。大雨で客がわずかな夜、その数を「しか」で数えるか「も」で数えるかで店の力が分かれる、と著者は言います。人手を減らして早じまいするのではなく、客が少ない日だからこそ一人ひとりを手厚くもてなす。本の例は、濡れた客に体用のタオルとは別に、足用の乾いたタオルも渡すことです。
著者は店長が「ヒマ」と口にすることも禁じています。「今なら余裕があっていい接客ができる」と言え、と。
なぜそう言えるか。ここでつながってくるのが、著者が店長にいちばん求める「イメージする力」です。雨の日に客が減るのを心配する人と、「満席になる、どんなサービスをしよう」と100円ショップでタオルを仕入れる人。後者は客が喜ぶ場面まで思い描けるから、実際に動けるのです。
会社員の場面では。参加者が3人しか集まらなかった勉強会や、問い合わせの少ない閑散期。「3人しか」と考えると資料を読み上げて終わりますが、「3人も」と考えれば、一人ひとりの質問に時間を使えます。
論点6:「売れなかった」ではなく「売る力がなかった」
本はこう言う。サンマを看板にしていた秋のある晩、80人の来店に対して、出たサンマはわずか12本。理由を聞くと、店の子は「売れなかった」と答えた。著者はそこで言い直させます。
それは「売る能力がなかった」ということなんだ。
出典:『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史著
なぜそう言えるか。注文を待つだけでは30本は売れない。売れないなら、どうしたら売れるかを考えるのが仕事だ、というのが著者の立場です。具体策として本は、手書きの品書きは「売るため」に書け(まかないで食べた生の声を書くなど)、10品あれば7品はいつもどおりでいいから3品だけを本気で売れ、と言います。そして著者は「売る」を、①企画、②仕入れ、③調理、④PR、⑤販売、⑥「どうですか?」と聞くアフターフォローまでの6段階だと整理しています。
会社員の場面では。提案が通らなかったとき、「予算がなかった」で終わらせず、下の①~⑥のどこが弱かったかを見直す。いちばん弱い段を1つ直すだけで、次の提案は変わります。
| 本の「売る」6段階 | 会社員の仕事に置き換えると(多本読造の読み替え) |
|---|---|
| ①企画 | 相手の困りごとから提案のテーマを決める |
| ②仕入れ | 必要な数字・事例・社内の協力を集める |
| ③調理 | 資料にまとめる(言いたいことは3つまで) |
| ④PR | 会議の前に「こんな案を持っていきます」と一言伝えておく |
| ⑤販売 | 当日の説明。相手が決める前に、いちばん推したい点を伝える |
| ⑥アフターフォロー | 翌週「その後いかがですか」と聞き、次の改善につなげる |
論点7:パクリは武器。ただし「ひと工夫」と「翌日の実行」をセットで
本はこう言う。小さな店にとってパクリは下品どころか武器だ、と著者は言います。ただし自分なりの工夫を足す。流行の豚足シュウマイを、レンゲの上で蒸して1皿2個で出す、という例が出てきます。
そしてもう1つの条件が「すぐ実行すること」です。地方のウナギ屋で太い青竹の徳利に感動した著者は、翌日には東京中の竹屋を回り、1週間後には「竹酒」として店で出していました。
なぜそう言えるか。著者が独立前の勤め先を「実験場」と呼ぶのは、客の反応をその場で確かめられるからです。小さな店は大手と違って決裁を待たずに試せるので、外れの多さは試す回数で補えます。
会社員の場面では。駅の案内表示の見やすさ、コンビニの棚の並べ方。いいと思ったら「自分ならこうする」を1つ足して、翌日に試す。副業を考えている人には、今の勤め先こそが実験場です。
論点8:安さで集めない。「あなたのため」の一言で呼ぶ
本はこう言う。小さな店がチラシを配っても客は来ない、と著者は言います。割引チラシでは店の人との会話が生まれない。それより、店主が自分の好きな焼酎を一杯サービスして勧めるほうが、値引きという点では同じでも、客の受け取り方はまるで違う、と。
弟子の店の前で、おでん鍋を横目に「今日は家に帰る」と通り過ぎた常連の話もあります。著者なら、おでんを2つ3つ「持ってって」と渡す。原価は200円くらいで、次に飲むときはきっとこの店に来る、というわけです。
なぜそう言えるか。値段だけを理由に来る客は、もっと安い選択肢(家で飲むことも含めて)が見つかれば離れていきます。だから著者は、楽しさで選ばれる店を目指せと説きます。
会社員の場面では。社内の全員に同じ文面で送る案内より、関係のありそうな3人に「〇〇さんの部署に関係ありそうなので」と一言添えて送るほうが、参加率は上がります。
調べてみた:本の主張を統計や研究と並べてみる
2011年刊の本の主張を、今の統計や研究と並べてみました。
| 本の主張 | 調べて分かったこと | 多本読造の読み |
|---|---|---|
| 開業資金の目安は500万~600万円。小さく始めよ | 日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業費用の平均は975万円(全業種)。長い目で見ると少額化の傾向にある | 小さく始める考え方は今も現実的 |
| 工夫すれば飲食店は必ず儲かる | 同公庫が2011年に開業した企業を追った調査では、2015年末までの廃業率は全体10.2%、飲食店・宿泊業は18.9%で業種別で最も高い | 8割以上は続くが、最も廃業しやすい業種。「誰でもできる」は「誰でも続く」ではない |
| 小さな店は値段で大手と戦うな | 帝国データバンクによると、2025年の飲食店倒産は900件で過去最多。業態別では酒場・ビヤホールが204件で最多、負債5000万円未満の小規模倒産が77.3%。2026年上半期も473件で上半期として過去最多、酒場・ビヤホールは125件 | 価格以外で選ばれるという主張の重みが増している |
| 名前を呼ぶことが接客の基本 | 米国の研究(Carmody & Lewis, 2006)では、自分の名前を聞いたときに、他人の名前とは異なる脳の反応が見られた | 名前が特別な言葉であることは示唆される。ただし売上への効果は本の1店の事例で、一般化はできない |
| (会社員への橋渡し)一国一城の主になれ | 総務省の2022年調査では、副業がある人は305万人(5年前より60万人増)、追加で仕事をしたい人は493万人。厚生労働省は2018年に副業・兼業のガイドラインをつくり、2020年・2022年に改定している | 副業という「5坪の店」から試せる時代。始める前に就業規則を確かめたい |
本の楽観的な語り口と、数字の厳しさの両方が見えます。ただ、倒産は小規模の店が中心で、値段の勝負では大手が有利という今だからこそ、「値段ではなく人の温もりで勝て」という主張は切実に響きます。
多本読造の見立て:賛成する点と、条件によって変わる点
大いに賛成する点
いちばん賛成したいのは、生まれつきの向き不向きと、誰でも身につく仕組みを分けて考えているところです。話がうまくなくても、名前は覚えられる。品書きの字が下手でも、紙の7割に書いて3割を余白にすれば見栄えはよくなる。無口なら品書きに「しゃべらせる」。「気持ちを変えよう」で終わらず、誰でも再現できる形に落としてくれるのがこの本の強さです。
もう1つは、結果を自分の側に引き寄せる姿勢です。「売る力がなかった」は厳しく聞こえますが、「自分が変われば結果も変えられる」という希望の言葉でもあります。
条件が違う人には、別のやり方もある点
一方で、本は2007~2010年の連載がもとで、深夜3時、4時まで営業して資金を貯めた話や、客と一緒に飲む接客の話も出てきます。会社員が副業として取り入れるなら、長時間労働で稼ぐ部分ではなく、「一手間」や「名前」のように時間をあまり使わない工夫のほうを借りるのが合っているでしょう。
また、客が少ないときに前の客の皿をわざと並べて「さっきまで客が入っていた」ように見せた、という若いころの演出も書かれています。今の職場やSNSでは、こうした演出は信頼を損ねかねません。「暇そうな顔を見せない」心がけとして受け取り、事実と違うことは言わない形で取り入れるのがよいと思います。
そして「飲食店は必ず儲かる」という言い切りは、著者の経験と覚悟から出た強い言い方です。統計のとおり飲食は続けるのが難しい業種でもあるので、「工夫しだいで誰にでもチャンスがある」と読むのがよいと思います。
| 本の考え方 | 条件が違う人の別のやり方 |
|---|---|
| 深夜まで働いて資金を貯める | 会社員の副業なら、時間ではなく「一手間」で差をつける |
| お客さんと一緒に飲む接客 | 口下手なら品書き・資料に「しゃべらせる」(本にもある方法) |
多本読造流の実践:月曜から始める「差額200円の1週間」
居酒屋向けの話を、職場や副業で使える順番に並べ直しました。1日1つ、10~15分。道具はノート1冊で足ります。
| 曜日 | やること(目安時間) | 本のどの考え方から |
|---|---|---|
| 月 | 自分の仕事の「トマト」を1つ決める。誰がやっても同じになりがちな定番業務(週報など)を選ぶ(10分) | 論点1:差額は一手間でつくる |
| 火 | 「名前帳」を始める。今日話した人の名前と、好み・話題を1つずつメモ。明日、1人を名前で呼ぶ(10分) | 論点4:仕組みで名前を呼ぶ |
| 水 | 月曜の「トマト」に一手間を足し、裏でやったことを一言で見せる(「3社分で確かめました」など)(15分) | 論点1:見えない努力を見せる |
| 木 | 今週いちばん通したい提案や、副業で売りたいものを「3つ」に絞り、その3つだけ説明を書き直す(15分) | 論点6:3品だけ本気で売る |
| 金 | 「しか」を「も」に言い換える。少なかったこと(参加者・反応など)を1つ選び、手厚くできたことを書く(10分) | 論点5:「しか」ではなく「も」 |
| 土 | 買い物や外食の場で「いいな」と思った工夫を1つメモし、自分ならどう使うか一行足す(10分) | 論点7:パクリ+ひと工夫 |
| 日 | 今週を①企画~⑥フォローの6段階で振り返り、いちばん弱かった段を1つだけ来週直す(15分) | 論点6:売る6段階 |
順番にも意味があります。いきなり「売る」から始めると、話し下手な人ほど手が止まります。だから自分ひとりでできる「一手間」と「名前のメモ」から入り、木曜に少しだけ外へ「売る」、日曜に振り返る流れにしました。
- 名前帳に5人以上の名前と好みが書けた
- 名前で呼んだ相手が1人以上いる
- 定番業務に一手間を足し、その一手間を一言で伝えた
- 「売りたいもの」を3つに絞って説明を書き直した
- 「しか」を「も」に言い換えた出来事が1つある
- よそから借りた工夫を1つ、翌日に試した
副業を考えている人も、まずこの1週間を勤め先で回してください。手応えのあった工夫が、いずれ自分の「5坪の店」の武器になります。
よくある疑問
- 飲食店をやるつもりがなくても読む価値はありますか?
- あります。題材は居酒屋ですが、名前を覚える、売りたいものを絞る、見えない努力を見せる、といった考え方は営業・販売・窓口・社内調整のどれにも使えます。
- 2011年の本ですが、内容は古くありませんか?
- 当時の不況の話は多く出てきます。ただ本の芯の「値段ではなく人の温もりで選ばれる」は、小さな店の倒産が増える今のほうが切実です。深夜営業などは今の働き方に合わせて読み替えてください。
- 話し下手でも使えますか?
- 使えます。著者自身、最初は話せず、トイレの鏡で笑顔の練習をしたと書いています。名前を呼ぶ、面白い料理名で「これ何?」と聞いてもらう、品書きにしゃべらせるなど、話術に頼らない方法が中心です。
- 開業資金は本当に500万~600万円で足りますか?
- 著者が弟子にすすめる目安で、5~6坪の店が前提です。開業費用の全業種平均は975万円(日本政策金融公庫、2025年度)なので、実際には物件ごとに見積もりを取り、公的な創業相談も使って確かめてください。
この本が合う人・合わない人
| こんな悩みの人に合う | 本から得られること |
|---|---|
| 資金も技術もないから、何も始められないと思っている | 小さく始めて、ハンデを工夫の種に変える考え方 |
| 話し下手で、営業や接客に自信がない | 名前・一手間・品書きなど、話術に頼らない選ばれ方 |
| 部下に「売る力」をどう教えればいいか分からない | 「売れなかった」を「売る力がなかった」と捉え直す言葉と、6段階の整理 |
| こんな人には合わないかもしれない | 代わりに |
|---|---|
| 開業の手続き・資金計画・数字の管理を体系的に学びたい | 開業実務の解説書や、公的機関の創業ガイドと組み合わせて読む |
| データや研究にもとづく理論書を求めている | 本書は著者の経験談が中心。この記事の「調べてみた」のような統計と並べて読む |
あわせて使いたいもの
本の考え方を、もう一歩深めたり、毎日の実践に落としたりするのに役立つ本と道具です。まずは本とノート1冊だけで始めて、必要になったら足してください。
同じ著者の続編です。出版社の紹介では、少ない定番料理に力を集中して続けることがテーマ。本書の「3品だけを本気で売る」をさらに知りたい人に向きます。
Amazonで見る/楽天ブックスで見る続編『たった3品で繁盛店はできる!』の書籍ページで、前著として挙げられている同じ著者の本です。商売を楽しむという著者の考え方を、別の角度から読みたい人に。
Amazonで見る/楽天ブックスで見る人間関係の古典で、人に好かれる原則の1つとして、相手の名前を大切にすることを挙げています。論点4の「名前を呼ぶ」を、飲食以外の場面で広く考えたい人に。版がいくつかあり、2023年に改訂新装版が出ています。
Amazonで見る/楽天ブックスで見る3mm方眼の手のひらサイズのノートで、硬い表紙なので立ったままでも書けます。「名前帳」や、出先で見つけた工夫をメモする「アイデアファイル」に。1週間の実践表の道具はこれ1冊で足ります。
Amazonで見る/楽天市場で見る- 著者の考えをもっと知りたいなら、続編の『たった3品で繁盛店はできる!』
- 職場の人間関係に広げたいなら『人を動かす』
- すぐ実践したいなら、ノート1冊(測量野帳)から
まとめ
2. お金や腕がないことは工夫の種。小さく始め、立地より「力」、話術より「名前」で選ばれる
3. 「売れなかった」ではなく「売る力がなかった」。3つに絞って本気で売り、①~⑥で振り返る
今日やることは1つだけです。明日会う人の名前を1人、ノートに書いてください。それが、あなたの仕事に足す最初の「200円」になります。
動画でもっと気軽に。多本読造じいが、この本の要点をアニメで解説しています。
参考文献・出典
- 宇野隆史著、日経レストラン編集部編『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる ~居酒屋の神様が教える繁盛店の作り方~』日経BP社、2011年(ISBN 978-4-8222-3343-3)
- 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_251205.pdf
- 日本政策金融公庫総合研究所「新規開業パネル調査 アンケート結果の概要」(2016年) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_161228_1.pdf
- 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2025年)」(2026年1月13日) https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260113-insyokuten2025/
- 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」(2026年7月22日) https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260722-insyokuten2026fh/
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の要約」 https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kall.pdf
- 厚生労働省「副業・兼業」(副業・兼業の促進に関するガイドライン) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
- Carmody, D. P., & Lewis, M. (2006). Brain activation when hearing one’s own and others’ names. Brain Research, 1116(1), 153–158. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1647299/
- 日経BOOKプラス『たった3品で繁盛店はできる!』書籍ページ https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/18/268900/
