【要約】ストレスで動けない人へ『スーパーベターになろう!』ゲームの科学で立ち直る

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通勤電車ではスマホゲームに30分でも集中できるのに、会社の席に着いたとたん、メール1通を開くのが重い。ゲームなら何度負けても平気でやり直すのに、仕事で一度しくじると、帰り道も寝る前も、頭の中で同じ場面が何度も再生される――。

そんな「やる気が出ない」「ストレスから立ち直れない」という悩みは、珍しいものではありません。厚生労働省の調査では、仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じている働く人は、2024年で68.3%。3人に2人です。わたし(多本読造)も、月曜の朝に未読メールの数を見ただけで、肩がずしっと重くなる口です。

このモヤモヤに「ゲームの科学」で答えたのが、ゲームデザイナーのジェイン・マクゴニガルさんの『スーパーベターになろう!――ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」』(早川書房)です。この記事では、本を章の順ではなく「会社員がストレスと付き合う順番」に組み直して解説し、調べ足した統計や研究と、紙1枚で始められる多本読造流の1週間プランまで紹介します。

この記事で分かること
  • 『スーパーベターになろう!』の核心を、会社員の場面に置き換えた6つの論点で解説
  • 本の主張を、公的統計や最新の研究と並べて確かめた結果(補強と限界)
  • 多本読造流「1日5分のセーブポイント」:チェック表つき1週間の始め方

先に結論です。この本のメッセージは「ゲームをしているときの粘り強さや集中力は、もともと自分の中にある力。それを、小さな行動・名前をつけた敵・一緒に遊ぶ仲間という“ゲームの形”にして毎日少しずつ使えば、困難の前より強くなれる」です。ゲームをたくさん遊べという本ではなく、仕事や暮らしを「ゲームのように扱う」ための本です。

目次

『スーパーベターになろう!』の基本情報と、向いている人

書名スーパーベターになろう!――ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」
著者・訳者ジェイン・マクゴニガル(著)、武藤陽生・藤井清美(訳)
出版社・発行早川書房、2015年11月(原著 SuperBetter は Penguin Press、2015年)
ページ数・価格602ページ、本体2,000円+税(刊行時。国立国会図書館・版元の情報による)
ISBN978-4-15-209575-6
著者についてカリフォルニア大学バークレー校で博士号を取ったゲームデザイナー。前著に『幸せな未来は「ゲーム」が創る』。双子の姉は『スタンフォードの自分を変える教室』の心理学者ケリー・マクゴニガルさん

本が生まれたきっかけは、著者自身の大けがです。2009年に頭を打って脳震盪になり、1か月たっても頭痛やめまいが治まらず、気持ちまで追い詰められました。そこで著者は、自分の回復を1本のゲームに仕立て直します。姉と夫を「仲間」にし、症状を悪化させるものを「悪者」と呼び、少しでも気分を上げてくれる行動を「アイテム」として集めました。数日で気分の落ち込みと不安が軽くなったことから、このやり方を一般向けに広げたのが「スーパーベター」です。名前には「元どおりに治る」ではなく「前よりずっとよくなる」という意味が込められています。

※この本は医療の代わりになるものではありません。本自体も、治療やカウンセリングと並行して使うものだとはっきり書いています。つらさが強いとき、長く続くときは、まず医師や専門家に相談してください。

こんな人に向いています
  • ストレスや落ち込みを一人で抱えこみがちで、「頑張れ」と言われるほど動けなくなる人
  • 目標を立てては三日坊主になり、そのたびに自分を責めてしまう人
  • ゲームをする自分や子どもに、うしろめたさを感じている人

本の核心:会社員に置き換えた6つの論点

本は前半で「ゲーム中の人の心に何が起きているか」を研究で示し、後半でそれを実生活に持ち込む7つのルール(困難を自ら選ぶ、気分を上げる行動、邪魔者との戦い、毎日の小さな行動、仲間、ヒーロー名、大きな勝利。本ではそれぞれゲーム用語で呼ばれます)を説明します。ここではそれを、会社員がつまずきやすい順に6つの論点に組み直しました。各論点は「本の主張 → なぜそう言えるか → 会社員の場面では」の順に見ていきます。

論点1 困難は「脅威」ではなく「自分から受けた挑戦」として扱う

本の主張:同じ出来事でも、「失うものが怖い」と受け止めるか、「伸びるチャンスだ」と受け止めるかで、心にも体にも違う反応が出ます。だから、取り組みたい困難を1つ選び、自分から引き受けた挑戦として扱おう、と本は言います。

なぜそう言えるか:本は、恐れの状態では血管が縮んでストレスホルモンが増え、挑戦の状態では心臓が効率よく働くという、長年の研究を紹介します。また、不安と興奮は体の上ではどちらも「ドキドキした状態」で、無理に落ち着こうとせず「ワクワクしてきた」と口に出した人のほうが成績がよかった、というハーバード・ビジネススクールの実験も挙げています。ゲームとは本来、わざわざ置かれた障害を進んで越えようとする遊びです。人はゲームの中では、困難を嫌がるどころか楽しんでいます。

会社員の場面では:重役の前でのプレゼンを控えて手が冷たくなったら、「緊張するな」と命令するより、「これは体が本番モードに入った合図だ」と言い直すほうが現実的です。困難を消すのではなく、困難との関係を「やらされる側」から「受けて立つ側」に変える。ここがこの本の入り口です。

本はさらに、ポジティブ思考を押しつけているわけではない、とも念を押しています。大事なのは悪い結果を「なかったこと」にすることではなく、悪い結果に自分の価値まで決めさせないことです。

論点2 ゲームが毒になるか薬になるかは「なぜ遊ぶか」で決まる

本の主張:ゲームの害を示す研究と益を示す研究は、どちらも正しい。分かれ目はゲームの種類でも時間でもなく、遊ぶ理由だ、と本は言い切ります。

重要なのはなぜプレイするかという一点だけだ。

――ジェイン・マクゴニガル『スーパーベターになろう!』(武藤陽生・藤井清美 訳、早川書房)第四章より

なぜそう言えるか:嫌なことから目をそらすための没頭は、その場は楽でも、あとで向き合う力を少しずつ削り、落ち込みや孤立の悪循環に入りやすい。一方、学ぶ・回復する・人とつながるといった目的を持った没頭は、自信を育てます。外から見ると同じ「1時間のゲーム」でも、中身は正反対になりうる、というのが本の見立てです。本はあわせて、生活に支障が出やすくなる目安を1日3時間(週21時間)とし、よく遊ぶ人の41%が「日常から逃げるため」に遊んでいるという調査も紹介します。

会社員の場面では:帰りの電車でのパズルゲームは、「今日の会議を思い出したくない」から続けるのか、「頭を切り替えて、家では家族と話す」ために10分だけやるのか。理由を自分に聞くだけで、同じ10分の意味が変わります。子どもへの声かけも同じで、本は「時間の無駄だ」と叱るより、ゲームで得た工夫や粘りを聞き、最後にこう尋ねるのがいちばん効く、と勧めています。

一緒にプレイしてもいい?

――ジェイン・マクゴニガル『スーパーベターになろう!』(武藤陽生・藤井清美 訳、早川書房)第四章より

論点3 大きな決意より、小さな「いい気分」を何回も

本の主張:お金も手間もかからず、確実に少しだけ気分を上げてくれる行動を、ゲームの回復アイテムになぞらえて「パワーアップアイテム」と呼び、集めて、1日に何度も使おう、と本は言います。体の回復力のアイテムでプレイヤーに一番人気だったのは「コップ1杯の水を飲む」でした。

なぜそう言えるか:本が紹介する研究では、心の回復力を左右するのはポジティブな感情の強さより回数で、ネガティブな感情を減らそうとするより、小さなポジティブを足すほうが効きます。ポジティブとネガティブの比についても、本は「魔法の数値」はないと断ったうえで、比を少しでも上げることに意味がある、と説明します。

会社員の場面では:「今年こそ毎朝ジョギング」より、「メールを10通返したら窓の外を30秒見る」「昼休みに好きな曲を1曲だけ聴く」のほうが、何十倍も続きます。大事なのは、疲れていてもできるくらい小さいこと。気合いの要るものはアイテムではありません。

論点4 嫌なものに名前をつけ、戦い方を変えてみる

本の主張:前に進むのを邪魔する習慣や考えを「悪者」と呼び、名前をつけて戦おう。名前をつけると、問題と自分を切り離して眺められるようになります。

なぜそう言えるか:本は、つらさを否定せずに気づき、そのうえで手持ちの戦い方を複数持つ「心理的な柔軟性」が、回復を分けると説明します。戦い方は「避ける・押し返す・仕組みで対処する・本当に悪いのか疑う・味方に変える」の5種類。本によると、避けるだけの作戦はいちばん効きが弱く、「それって本当に問題?」と疑う作戦は飛び抜けて強力、悪者を力に変える作戦は柔軟性をもっとも伸ばします。そして、負ける日があってもいい。数週間の長い目で見て、立ち上がり続けることが勝ちだ、という研究者の助言も添えられています。

会社員の場面では:会議で言い損ねたことを夜まで反すうする癖に「反省ループ男」と名前をつけると、「また来たな」と一歩引いて見られます。戦い方の例を表にしてみました(例は多本読造の創作です)。

戦い方「反省ループ男」が来たときの一手
避ける寝る前は会議資料を開かない
押し返す30秒だけ別の作業(皿洗い・ストレッチ)をして流れを切る
仕組みで対処会議の直後に「言えなかったこと」を3行メモし、次回の議題に回す
疑う「言い損ねたからって、誰が困った?」と自分に聞く
味方に変える「言い損ねるほど気にしている=この仕事が大事」と読み替え、次の準備の燃料にする

論点5 毎日のクエストは「1〜5分」「楽しい」が条件

本の主張:大きな目標に向けて、24時間以内にできる小さな行動(クエスト)を毎日1つこなそう。その日の目安は「アイテム3つ+悪者との戦い1回+クエスト1つ」で、これは臨床研究で試された量だ、と本は説明します。

なぜそう言えるか:小さな成功を重ねると、「道はある」「うまくいきそう」「自分にもできる」という3つの感覚が同時に育ち、上向きの循環が始まります。本は、ゲームの作り手が課題を設計する際に自問するポイント(明確か・現実的か・楽しいか・学びがあるか・意味があるか)を紹介し、心理療法でよく使う目標の立て方との違いは「楽しさ」だけだと指摘します。その「楽しさ」の効き目を示すのが、同じ数学の問題でも、「テスト」と説明された人たちは用意された時間の60%を使い切るまで取りかからず、「ゲーム」と言われた人たちはほとんど先延ばししなかった、という実験です。

会社員の場面では:「経費精算を片づける」は、気が重いタスクの代表です。これを「領収書を5分で何枚さばけるか自己ベストに挑戦」と呼び直すだけで、手をつけるまでの時間が縮みます。著者自身も、頭痛に苦しんでいた時期にベッドの横に貼った紙で「いい日」に印をつけ続け、最初は週2日あれば上出来と思っていたのが、1年で154日、週平均3日になったそうです。記録は自分を責める道具ではなく、前進の証拠集めだ、という話です。

論点6 「助けて」の代わりに「一緒にやろう」と言う

本の主張:助けを求めるのは難しくても、「一緒にゲームしよう」と誘うのは簡単です。本は、本当に頼れる仲間は1〜2人いれば十分だとし、自分の強みを表すあだ名(秘密の正体)を持つことも勧めます。

なぜそう言えるか:本は、人とのつながりが寿命に与える影響は禁煙や適正体重に匹敵する、という大規模なメタ研究を紹介しています。また、自分を三人称で呼んで振り返ると、くよくよせずに状況を見直せるという心理学の研究(自己距離化)も挙げています。ゲームの言葉には、深刻な話を少し軽くして、口に出しやすくする力があるのです。

会社員の場面では:同僚に「最近しんどくて」と打ち明けるのはハードルが高くても、「毎日1個、小さなクエストをやるゲームを始めたんだけど、どう?」なら誘えます。自分のことも「◯◯課長なら、この炎上メールにどう返す?」と三人称で考えると、感情に飲まれずに済みます。

ポイント:本の芯は「困難の前より強くなる」

本が最終的に目指すのは「元に戻る」ではありません。大きな困難を経て、前より人を大切にし、自分の夢に正直になる人がいます(心的外傷後成長)。著者は、トラウマがなくても、自分で選んだ難しい挑戦――マラソン、本の執筆、起業、子育て、禁煙など――で同じ成長が起こりうるという研究にも注目します。さらに、終末期の患者が口にする「人生の後悔」と、困難を経て成長した人の言葉が、ちょうど裏返しになっていることを指摘します。6つの論点は、どれもこの成長への小さな階段です。

多本読造じい:わしも若いころは「根性で何とかせい」と言われて育ったがのう。この本を読むと、根性より「小さくて楽しい一手を毎日」のほうがよっぽど強いと分かるんじゃ。

調べてみた:本の主張を最新の統計・研究と並べると

本は2015年の刊行です。その後の調査や研究と並べると、補強される点と、注意したい点が見えてきます。

本の主張調べて分かったこと見立て
ストレスはだれにでもある身近な困難厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」2024年では、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は68.3%。内容は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%が上位。2022年の国民生活基礎調査でも、30〜50代はどの年代も5割強が悩みやストレスありと答えています補強。特に「量」と「失敗」は、本のクエスト(小さく分ける)と悪者(失敗の反すうと戦う)がそのまま当てはまる悩みです
ゲームの価値は時間より遊ぶ理由で決まるオックスフォード大の研究チームが、7つのゲーム会社から提供されたプレイ記録と約3万9千人のアンケートを6週間つないだ研究(2022年)では、遊んだ時間の長さと幸福感の間にはほぼ関係が見られず、「やらされ感」で遊ぶ人ほど幸福感が低い結果でした「理由が大事」は補強。一方、遊ぶだけで心が強くなるわけではない点も示します。本が「ゲームをする本ではない」と言うのと合います
週21時間(1日3時間)が分かれ目上の大規模研究では、時間の影響はごく小さく、本人が気づくほど幸福感が変わるには、ふだんより1日10時間ほど多く遊ぶ必要があるという計算でした。一方、WHOは2019年に「ゲーム障害」を国際疾病分類(ICD-11)に入れ、2022年に発効しています数字は研究によって違うので、21時間は「目安の1つ」と受け止めるのが安全です。生活に支障が出ているなら時間にかかわらず専門家へ
スーパーベターは無作為化比較試験で効果が確かめられたペンシルベニア大学の試験は2015年に学術誌 Games for Health Journal に掲載。鬱症状が待機群より大きく減りました。ただし論文の要約では募集283人(本は236人と記載)、脱落が多く、著者本人も共著者です期待できる結果ですが、規模・期間・利害関係の面で「最初の一歩の証拠」と見るのが妥当です。本自身も限界を正直に書いています
人とのつながりは寿命を延ばすホルト=ランスタッドらのメタ分析(2010年、148研究・約30万人)では、社会的なつながりが強い人は生存の見込みが約1.5倍(オッズ比)でした補強。仲間づくりを「気分の問題」ではなく健康の土台として扱う本の姿勢と一致します
ポジティブ感情の比に魔法の数値はないかつて話題になった「2.9013」という黄金比は、2013年に数学的な誤りが指摘され、該当部分が撤回されました本は特定の比を推しておらず、むしろ慎重な書き方が正しかったと言えます
ポイント:研究から見た使い方

「遊ぶ理由を意識する」「小さな行動を回数で稼ぐ」「仲間を作る」は、新しい研究ともよく合います。一方で、ゲームそのものの効果や特定の数字は、研究によって幅があります。本は「治す道具」ではなく「立ち向かい方の型」として使うのがおすすめです。

多本読造の見立て:うなずける点と、別のやり方もある点

うなずける点は、なにより「小ささ」の設計です。会社員の毎日は、気力が満タンの日のほうが少ない。疲れた日でも押せる「コップ1杯の水」のような一手を最初から用意しておく発想は、根性論よりはるかに実用的です。もう1つは言葉の力です。「悪者」「仲間」と呼ぶだけで、家族や同僚に弱音を言いやすくなる。これは、わたし自身が家族に「今日は粘着椅子に負けた」と冗談めかして言ってみて、実感しました。深刻にならずに、でもちゃんと伝わるのです。

別のやり方もある点は、ゲームの言葉が合うかどうかに個人差があることです。ゲームに縁がない人や、職場で「クエスト」と口に出すのが照れくさい人もいるでしょう。その場合は、本の仕組みはそのままに、呼び名だけ自分の好きな世界に置き換えればよいと思います。釣り好きなら「今日の釣果」、料理好きなら「今日の下ごしらえ」でもかまいません。大事なのは名前の種類ではなく、「小さな行動・敵の見える化・仲間」という骨組みのほうです。

また、本はオンライン版のプレイヤー数十万人のデータに支えられていますが、日本の会社員がやるなら、まずは紙1枚と手帳で十分です。アプリや道具をそろえる前に始められるのも、この方法のよいところです。

ポイント:骨組みだけ借りればいい
  • ゲームの言葉が照れくさければ、呼び名は自由に変えてよい
  • 道具より先に「1日の小さな勝ち」を決める
  • 数字(週21時間など)は目安。自分の生活に支障があるかで判断する

多本読造流の実践:「1日5分のセーブポイント」1週間プラン

本の手順を、忙しい会社員向けに組み直しました。ポイントは、行動を通勤・昼休み・寝る前という「毎日必ず通る場所」にくっつけること。ゲームのセーブポイントのように、そこを通るたびに1つだけ記録します。

日やること(5分以内)ねらい
1日目(月)寝る前に、ここ1か月で「受けて立ちたい困難」を1つだけ書く(例:仕事の量に押しつぶされない)困難を自分から選ぶ
2日目(火)通勤中に「気分が少し上がる小さな行動」を5つメモ(水を飲む、空を見る、好きな曲1曲など)アイテムの在庫づくり
3日目(水)いちばん手ごわい悪者に名前をつけ、上の5つの戦い方から今日は1つ試す悪者を外に出す
4日目(木)「1〜5分で終わる、楽しい言い方のクエスト」を1つ作って昼休みにやる小さな成功の1回目
5日目(金)家族・友人・同僚の1人に「こういうゲームをやってる」と話すか、メッセージを送る仲間を1人
6日目(土)自分の強みを表すあだ名を1つ決める(例:「段取り将軍」)秘密の正体
7日目(日)1週間のチェック表を見て、できた日を数える。0日でも「来週のアイテムを1つ足す」だけ決める記録は責めずに振り返る

2週目からは、毎日次のチェック表を手帳に貼って使います。全部できたら「今日の勝ち」。できない日があって当たり前です。著者の記録も、最初の数週は週0〜3日でした。

今日の勝ちチェック(1日分)

  • 朝の通勤:アイテム1(例:駅で水をひと口)
  • 昼休み:アイテム2+今日のクエスト1つ
  • 帰りの電車:悪者と1回戦う(名前を呼ぶだけでも1回)
  • 寝る前:アイテム3(例:今日よかった会話を1つ思い出す)
  • カレンダーに「勝ち」の印をつける

コツは、チェックが4つでも「4/5の日」として記録すること。満点主義だと2日目で投げ出します。ゲームでもライフが満タンでなくても先へ進めるのと同じです。

よくある疑問

ゲームをしない人でも役に立ちますか?
役に立ちます。本自体が「ゲームで遊ぶ本ではない」と言っていて、紹介されるやり方の多くは、数分の行動や声かけです。ゲームの言葉は、続けやすくするための「型」と考えてください。
うつ病や不安症の治療の代わりになりますか?
なりません。本も、医師の治療やカウンセリングと並行して使うものだと明記しています。症状がつらいとき、長引くときは、まず専門家に相談してください。
子どものゲーム時間はどう考えればいいですか?
本は、時間だけで判断するより「なぜ遊んでいるか」を一緒に確かめることを勧めています。叱る前に、ゲームで工夫していることを聞き、一緒に遊んでみるのが第一歩です。生活に支障が出ている場合は、時間にかかわらず相談窓口や医療機関を頼りましょう。
600ページもあって読み切れるか不安です
前半(第一部)は研究の紹介、後半はやり方の解説、最後は数週間分の実践プログラムという作りです。まずはやり方の解説から、気になるルールの章だけ読んでも十分に使えます。
『スタンフォードの自分を変える教室』とどう違いますか?
姉のケリー・マクゴニガルさんの本は「意志力」を科学で鍛える本で、こちらは意志力に頼らず「ゲームの形」で続ける本、という違いがあります。組み合わせると相性がよい2冊です。

この本が合う人・合わない人

こんな悩みがある人本がくれる解決のヒント
失敗を引きずって次の一歩が出ない悪者に名前をつけ、5つの戦い方で距離を取る
大きな目標を立てては続かない1〜5分のクエストと、1日の「勝ち」の目安
ストレスを一人で抱えこむ「助けて」ではなく「一緒にやろう」で仲間を作る
ゲームをする自分や子どもを責めてしまう遊ぶ理由を見直し、ゲームを力に変える考え方

一方で、すぐに使える時短術や仕事術だけを知りたい人には遠回りに感じるかもしれません。研究の紹介や体験談が多く、「なぜ効くのか」を納得しながら進む本だからです。また、いま症状が重くてつらい人は、本より先に専門家につながることを優先してください。

あわせて使いたいもの

本の実践をもう一歩進めるのに役立つ本と道具を選びました。

ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』(神崎朗子 訳、大和書房)

著者の双子の姉による、意志力の科学の本です。「悪者」との戦い方を考えるとき、誘惑や先延ばしが脳でどう起きるかを知っておくと、作戦が立てやすくなります。

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ケリー・マクゴニガル『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』(神崎朗子 訳、だいわ文庫)

ストレスの受け止め方しだいで体の反応も変わる、という研究を集めた本です。論点1の「脅威ではなく挑戦として受ける」を深掘りしたい人に向きます。

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ラス・ハリス『よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)明日から使えるACT入門〈上〉改訂第2版』(武藤崇 ほか訳、星和書店)

本書が価値観と「小さな行動」の考え方で参照している心理療法の入門書です。専門家向けの内容も含みますが、クエストを価値観から作る考え方の土台を知りたい人に。

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タニタ デジタルタイマー「でか見えタイマー」TD-384

「1〜5分のクエスト」や「30秒だけ別の作業」をするときに、スマホを開かずに時間を区切れます。スマホを手に取ると、そのまま別のアプリに流れがちな人に。

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まとめ

要点3行
  • ゲーム中に出ている粘りや集中力は、もともと自分の力。遊ぶ理由しだいで、実生活にも持ち込める
  • 大きな決意より、小さな「いい気分」と1〜5分のクエストを、回数で積み重ねる
  • 嫌なものには名前をつけ、「一緒にやろう」で仲間を作る。目指すのは、困難の前より強い自分

動画でもっと気軽に、本のポイントを多本読造じいと一緒にたどれます。通勤のお供にどうぞ。

参考文献・出典

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このブログでは、20〜30代の悩みに効く本を悩み別にまとめています。次に読む1冊を探してみてください。

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この記事を書いた人

20〜30代の社会人に向けて、仕事・人間関係・メンタル・時間術などの悩みに効く本を解説しています。日本未翻訳の海外の話題書もいち早く紹介。読んで終わりにせず、「今日からできること」まで具体的にお届けします。

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